エジプト人男性のイブラヒム・ハマトさんは、10歳の時に事故で両手を失ったのですが、卓球がこよなく好きだったそう。事故から三年経って、再び自分の手でラケットを握って卓球をしようと思ったけれどけれど、両手がないので練習すらできない。なので、ハマトさんは手の代わりに口にラケットを咥えて卓球をするという困難な選択にトライしたそうです。
それが今や、世界の一流卓球選手と渡り合えるまでの実力に。先日、東京で開催されたJA全農2014年世界卓球団体選手権にアダム・シャララITTF会長の名誉ゲストとしてハマトさんが呼ばれ、日本の水谷隼人選手らと練習で手合せをした様子が映像で紹介されています。
口に咥えたラケットで、サーブやラリー、スマッシュも思いのまま、ここまでのレベルに到達するには、血のにじむような練習を重ねてきたことでしょう。非常に頭の下がる思いがします。
この光景を見ると、私が中学校で卓球部に所属していた頃、一年先輩に手足が短いため身長が伸びない四肢短縮型小人症の部員が居たのですが、卓球台から頭しか見えない身長で、しかも短い手で握ったラケットから繰り出される鋭い打球に驚かされた瞬間が、今も懐かしく蘇ります。いずれにせよ、人間あきらめさえしなければ、不可能を可能にすることを痛感させられる事例です。