多発性硬化症(MS)とは、中枢性脱髄疾患の一つで、脳や脊髄、視神経などの病変からくる手足のしびれや感覚障害など様々な神経症状の再発と治ったりを繰り返す原因不明の難病で現段階では根本的な治療法がないとされています。
そんな日常生活にも不自由を強いられる多発性硬化症と懸命に闘いながらも、陸上競技でも辛い長距離を走り続けるアメリカで注目の美少女長距離ランナー、カイラ・モンゴメリーさんを特集した感動のドキュメンタリー映像です。
2014年3月14日、米国の室内陸上競技会で女子5,000メートルに出場。力強く最後まで走り抜きゴールした瞬間倒れ込み、足が全くいうことが利かなくなったカイラさんがコーチに抱き上げられるシーンから始まります。「私の足…どこに行っちゃうの?どうか私を助けて」
幼い頃は人形と遊ぶのが大好きだったシャイでお洒落な可愛いの女の子でした。
多くのスポーツに取り組くむ姿勢の中で、最終的にカイラさんはサッカーを選び、14歳の時にはジュニア選抜チームに入り活躍しました。
希望に胸を膨らませ高校に入学した一年生の時に最初の異変に気が付きます。サッカーの試合中でも調子が悪く、その日の夕方から病気との闘いが始まりました。
地元の町の感覚機能に関連する10の診療科を回りましたが、医師はカイラさんの足にさわるだけで決まり文句(何の病気か分からない)はどこでも同じでした。この異様なショックで、どうしたら良いか全く分からなくなったといいます。
そして、2010年10月にある医師の診察を受け、MRI検査を行いました。医師から診断結果が電話で告げられ、多発性硬化症(MS)に罹っていることが判明します。
病名宣告から8か月のつらい期間を経て、足の感覚が全てなくなっていました。徐々に薬の助けを借りながら、何かも諦めたい気持ちとなり始めていました。
そんな時、スポーツへの触れ合いをランニングに置き換えようと考えました。まだ競争が出来ると信じてくれるコーチにもっと走りたいと、もっと速く走りたいと思いを伝えます。
美しい流れるようなランニングフォーム。MS患者だとは到底思えません。
しかし、病魔はランニングに挑む間も容赦ない体験をさせてくれます。多くのMS患者と同様に、彼女に対して症状を引き起こす起爆剤となってやって来ます。ランニング時に体温が一時的に上昇すると、足で感じる感覚のマヒが始まります。
ランニングを続ける内に、症状に襲われない自分のペース配分が身に付いて行き、徐々に長い距離でも速く走れるようになったといいます。
男子選手らとの代表チームを結成。厳しい練習に明け暮れる毎日を送り、国内で有望な高校長距離ランナーのひとりに数えられるほどになっていきます。
2014年5月、いよいよ高校最後の挑戦がノースキャロイナ州に屋外陸上選手権でやって来ました。カイヤさんが高校でのキャリアを締めくくるラストランとなります。4年間の競技生活の集大成。最初の1周目で他の選手と交錯していきなり転んでしまいます。しかし、不屈の根性で巻き返し、最後はトップでめでたくゴールインしていつものように倒れ込みます。もちろん抱きかかえるのはコーチです。
満面の笑顔で表彰台に立つカイヤさん。MSとの闘いにまさしく勝った美しくも逞しい限りです。
これからも未来の目標に向かって走り続けていきます。病魔に苦しめながらも常に前を向いて生きるカイヤさんの姿は、きっと同じMS患者や他の病気等に苦しむ方々などへの大きな励みや希望につながることでしょう。